15)鉛蓄電池用充電器

1.はじめに
写真1
写真1:6V 1.5Ah×2の鉛蓄電器を充電する充電器です。

写真2
写真2:掃除機には単2タイプ(少し小さいかもしれない)×12本のニッカド電池パックが入っていました。

近くのホームセンターで購入した充電式の安い(3千円台)掃除機が壊れました。ニッカド電池が弱っていたのは知っていたのですが、ある日全く充電ができない状態になりました。普通は修理に出すのが鉄則ですが、こそっと中を覗いてみたところ修理に出すのを諦めました。そして、写真1のような充電器を作成し、鉛蓄電器を使うように改造したのでした。

2.問題点
内部を見ると、図1のような回路で写真2のニッカド電池を充電していました。トランスの2次側は断線していました。過充電防止の回路が何もありませんので、ちょっと掃除をサボると過充電になりそうです。また12本ものニッカド電池を、個々の電圧を管理せずに直列に充放電するのは、電池が痛みやすい方法です。弱った電池が一本二本と少しづつ増えてパワーが弱くなったのでしょう。その上、放電後の端子間電圧が下がり過ぎた時に充電したため過電流が流れてしまい、電源トランスが耐えられずに2次側が断線したと想像します。2次側が断線したため、肝心な電圧が測定できず全体像が解らないのですが、少なくともこのまま修理に出す気にはなりませんでした。

図1
図1:今までの充電回路ですが、現物を廃棄してしまったため間違いがあるかもしれません。


ニッカド電池は理想的には一本一本の電圧を管理し、適正な電圧で充放電を止めるのが理想です。それに比べて直列で多数を同時に充放電すると、弱い電池がダメージを受けやすくなります。少々元気のない一本目が1V(一般的には放電終了電圧)まで下がっても、他の11本が元気なら掃除機は動いてしまいます。度重なる過放電がボディブローのように効き、ますます元気が無くなります。0Vになっても他が動作を続け、ついには端子電圧が反転し逆方向へ充電されてしまいます。何となく掃除機に元気がないと思った頃には、相当なダメージがあるのではないでしょうか。

また、充電方法も定電流でもタイマーでもなく、電圧の管理もしていませんし、とても24時間連続で充電する回路に思えません。LEDは常に明るく点灯していましたので、過充電になっていた事も間違いありません。

3.鉛蓄電器と充電器
写真3
写真3:このようにプラスチックを削り鉛蓄電池を入れましたが、入り切れません。

写真4
写真4:内部を見ると、少々強引な工作と解ります。

写真5
写真5:掃除機の充電台の下側には電源回路が入っていましたが全て撤去し、外部の充電器と充電端子を直結しました。

写真6
写真6:基板を作成し、仮配線で動作チェックを行っているところで、トランジスターも基板の反対側で仮付け中です。

とりあえずニッカド電池を探しましたが、単2タイプを12本も揃えると大変な金額となってしまい、掃除機本体の値段を超えます。電気的には??と思いますが、快調に吸い込んでいましたので、空力的、機械的には問題なさそうです。そこで電池と充電器を新たに検討する事としました。ニッカド電池を使ったとしても、充電器は新たに製作するつもりでした。

どのような電池を使うにしても、掃除機本体に固定する必要があります。何とか今までのスペースに押し込む事を考えましたが、ニッカド電池は全体の値段を考えると高過ぎて使えません。そこで、鉛蓄電池を使う事としました。写真3と写真4のように、プラスチック部分を金ノコで削って6Vの1.5Ahを2個強引に入れました。隙間はホットボンドで埋めて、電池を固定しています。

充電器は秋月電子の「小型シール鉛蓄電池充電器キット」を使う事としました。電池が1.5Ahですので、充電電流は1/10の0.15Aとなります。この充電器はトリクル充電ができますので、充電器につなぎっ放しにしても大丈夫ですし、充電中に中断して掃除を始めても大丈夫です。充電終了後にはフローティング充電になります。

4.製作
掃除機には、上記のように金ノコでプラスチックを削って電池を入れました。外部に出る端子はホットボンドで絶縁処理をしました。掃除機内の配線は、今までの配線を利用し、コネクタで鉛蓄電池に接続しただけです。充電台の内部の配線は撤去し、写真5のように作成した充電器を直結しています。

充電器はキットをそのまま利用しています。電源トランスは、
(12+4)×1.4=22.4V
0.15×1.5=0.225A
以上が必要になります。そこで12,20,22,24Vのタップがある、300mAのトランスを購入しました。この程度であれば、ジャンクのACアダプタを探しても何とかなりそうです。トランスのタップは最初24Vを使用していましたが、後から試したところ22Vでも十分にいける事が解りましたので、省エネのため22Vにしました。写真6が仮配線で充電を試しているところです。この時点では、トランジスターは基板の銅箔面に仮付けしています。

仮配線で充電してみますと、機能的には問題ないのですが、どの程度まで充電が進んでいるのか全く解りません。充電していても楽しくありません。充電していて楽しい機能は、充電状況を知る事です。つまりこの場合は、充電電流を見る事です。別に楽しい必要はないのですが、ここが自作した場合の良さで、途中から追加する事にしました。

そこで、R7の両端にラジケータによる電圧計、つまり充電電流を監視する電流計になります。ラジケータは一般的に250μAとすると、0.75Vでフルスケールになれば良いのですから、R=V/I=3kΩとなります。調整時に誤ってラジケータを壊さないように、図2のような1kΩに4.7kΩ半固定VRをシリースとしてみました。これで大体のラジケータが使えるかと思います。目盛はパソコンで1〜5を等分に振り、ベージュ色の普通紙に印刷しました。図3が最終的な回路となりました。

図2
図2:キットに追加した充電電流を監視するメータ回路です。

図3
図3【拡大図】秋月電子の「小型シール鉛蓄電池充電器のキット」に少々追加した最終的な回路です。


写真7
写真7:このようにケースに入れてまとめました。幅も奥行きも高さもピッタリ収まりました。

写真8
写真8:放熱用リン青銅板の下側の様子です。

キットの説明書では、ジャノメ基板で説明しているのですが、実際に使っている基板は専用基板になっています。スマートにはなったのですが、電源キットの基板を流用しているため不要な部品のシルク印刷とジャンパーが多く、ちょっと解りにくくなっています。トランジスターは基板外に取り付けるようになっていますが、私は強引にTR2の位置に取り付けてしまいました。電流も少ないし、問題ないと思ったのですが、キット付属の放熱器が取り付けられません。そこで写真7のようにアルミ板を加工して放熱器を作り、リン青銅のバネを介してケースの上側に接触させる事で放熱効果を上げています。別の角度から写したのが写真8になります。

ケースにはタカチのMB−11(80×55×150)を用いました。トランスと基板がちょうどピッタリ入る大きさですので、これ以上小さいケースでは入りません。

調整は、充電電圧から行います。電池は取り付けずに出力端子の電圧を測り、充電電池電圧の1.14倍、つまりこの場合は、12×1.14=13.68V になるようにVR2を調整します。次に充電電流を調整します。放電して充電前の鉛蓄電池を接続したときに、R7(5Ω)の端子電圧が(電池容量/10)×R7 になるようにします。この場合は、(1.5/10)×5=0.75V になるようにVR1を調整します。ついでにラジケータがフルスケールになるように、4.7kΩを調整します。

このラジケータによって、充電状態が良く解るようになりました。開始直後からしばらくは最大電流で充電しますが、その後富士山のすそ野を下るような曲線で下がって行きます。そして少しずつ0に近づきますが、この時点でほぼ100%充電となります。これは満充電に近い状態の鉛蓄電池に充電電流を流し過ぎると、寿命を短くするためです。最初は多少の熱を持ちますが、時間と共に放熱器の温度も下がります。

5.終わりに
元は1.2V×12個=14.4Vもあった電圧が、6V×2=12Vに下がってしまいましたが、パワーが無くなったなどの感じは無く、快調に掃除ができています。

鉛蓄電池はニッカド電池と異なり、別の意味での管理が必要です。過放電はしない、通気性の良い場所で充電する、密閉空間や火気のある所では使用しない、漏れた液には触れない・・等々の注意が必要ですので、この点は説明書を良く読み理解して使用して下さい。特に冬の期間は、暖房機によっては同じ部屋で充電できません。

今回は少々地味な充電器の製作を、掃除機を例に紹介しました。もちろん掃除機に限った事ではなく、鉛蓄電池は無線の移動運用などにも使用できるものです。何らかのヒントに、参考にして頂ければ幸いです。